探す【男主】 (ページ2)

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　自分の家のような広さはないのに、連れて来られた彼の家はとても暖かかった。
　久しく感じていない暖かさに、うっかり涙が零れそうになるのを、必死に堪えているだけで精一杯だった。

　彼の両親も、彼と同じように自分の傷の心配をしてくれた。何も言わずとも察してくれたのか、傷の化膿はないか、一番酷い傷はどこかと、深くは言及しないでくれたのがとても有難かった。

「これ、傷のとこに巻いた方がええんちゃう」

　そう言った彼の手には、包帯があった。
　家から放り出した後の自分を気遣うことをしなくとも、包帯などが巻かれていたら、傷の手当がされていることに気付かれたら。
　自分に当たりが強くなる分には良いが、最悪彼にまで迷惑をかけることになってしまうのではないか。
　幼いながらにそう危惧した自分は、今にも傷の手当てをしてくれそうな彼の手をやんわりと押し退けた。

「見付かったら、迷惑がかかるから」

　そう言うと、彼だけではなく彼の両親もとても悲しそうな顔をしてしまった。その意図を探ろうとしていると、自分の腹から虫の音が聞こえる。
　3日に1回が平常になってしまっているとしても、空腹に慣れた訳では無い。とりあえずこれ以上悲しい顔をさせないように、とへらりと笑って見せると、彼が自分の手を引いて立たせた。向かう先は、彼の家の食卓。

「飯食うだけやったら、バレへんやろ」

　彼は自分の手を強く、強く握っていた。