探す【男主】 (ページ12)

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　獲物を見付けたら、音を立てないように接近し、首を切る。背後から仕留められれば尚良し。
　男に教わったことを確実にこなし、今日の晩御飯用の肉をゾムと自分で的確に狩っていく。
　狩った物の血抜きは男が行い、自分とゾムは男の元に獲物を持っていく、ということを暫く行っていた。

「Aも大分様になってきたなあ」
「せやろ？俺のお陰やな」
「お前に教えてやったのも俺だ」

　男に褒められるのは、悪い気はしなかった。認めて貰えた、と感じられるからだ。自分よりゾムの方が喜んでくれるので、自身の反応はワンテンポ遅れてしまった。

「......ありがとう」
「おう、これからも励めよ」

　そう言って頭を撫でられる。最近はゾムにもしょっちゅう撫でられるのだが、「撫でるより撫でられる方がええわ」と撫でることを強要されている。

　「粗方済んだな」と腰を上げる男。それに2人して駆け寄り、血抜きした後の獲物を、ゾムと自分と男とで手分けして持ち、帰路についている途中だった。

「こんなとこまで軍隊が来やがるのか」

　耳を澄まさなくとも聞こえる、猟銃とは少し違った銃声。靴を履いた足音。「さっさと帰るぞ、目でも付けられたらたまったもんじゃねえ」と、少しばかり足早になる。

　その直後、

「A！」

　気配にいち早く気付いたゾムが、自分の腕を引っ張ってゾム側へと引き寄せた。ゾムの腕に収まりながら先程まで自分が歩いていたところを見ると、かすかに煙が立ち上っていた。

「いい動きをするな、お前」

　後ろを振り返れば、数人の軍人がいた。それらを従えていた人物は、金髪赤眼の、自分達と幾許も歳が変わらない少年だった。