探す【男主】 (ページ13)

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「グルッペン・フューラーという。先程は手荒な真似をしてすまない」

　目の前の金髪の少年はそう言うと、浅く謝罪をして見せた。隣ではゾムが自分を守る様に立ち、「謝る気あらへんやろ」と呟く。

「しかしその身のこなし、見事だった。是非我が軍に迎え入れたい」

　両手を広げて歓迎の態度を示す。「我が軍」ということは、この少年はどこかの国の長ででもあるのだろうか。この歳で。自分達と幾ばくも変わらない身体で。
　そんな自分の疑問を男も抱いていた様で、訝しげにグルッペン・フューラーと名乗った少年を見据える。

「…は？俺が軍になんか行く訳ないやろ。頭湧いてんのちゃうか」
「…ゾム」
「いきなり身内撃ってきた奴信じて軍隊入る思てんのか？」

　威嚇するゾムに、落ち着けという意味合いも込めて名前を呼ぶ。しかし尚もゾムは少年へ対する威嚇を止めない。

「我が軍に入れば相応の待遇を約束しよう。こんなところで生きていくよりは遙かに贅沢な暮らしを」

　グルッペン・フューラーのその一言で、ゾムの堪忍袋の緒が切れた。「お前…っ！」と少年に向かって殴り掛かりに行こうとするゾムを、男が後ろから引き止める。

「なんで止めんねん！あいつボコボコにしたらんと気が済まん！」

　緑色の服の襟首を引っ掴んだまま、男は口を開く。

「ゾム、お前は軍へ行け」

「……は…？」

　声を発してしまったのは自分だった。引き止められているゾムも、驚愕と言った表情で男を見ている。2つの視線を受けている男は、少年に向かって頭を下げた。
　何故男がそんなことを、と困惑する自分とゾムに、目の前の少年が薄く笑った。