探す【男主】 (ページ15)

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　それから男と、また数年を過ごした。ゾムが居なくなって、随分と静かな毎日になった。
　一人で狩りに出掛けて、男と自分用の飯を作って、一人で出来る鍛錬をして、眠りにつく。
　男は、ゾムが連れ去られてから著しく体調を崩した。ベットに寝込むことも増えて、自分が世話を見なければ生活が出来ない程、衰弱してしまった。

　そして、その日が来る。

「……ありがとう、ございました」

　男が眠るように息を引き取った。不思議と焦りはなかったが、自分の目から流れる雫は、悲しみを表しているのかもしれない。
　埋葬の仕方はよくわからなかったが、以前トントンの部屋にあった本から得た知識で、墓を立て、周辺から出来るだけ綺麗そうな花を探して、近くに置いた。

　男が居なくなれば、ここに留まる理由も、特に無かった。ゾムがもしかしたら探しに来るかも、と考えはしたが、あの日から数年も経っていれば、自分のことなど忘れているだろう。

　男とゾムと暮らしていた家を出て、歩き始める。此処が何処なのか、何処に向かって歩いているのかは分からない。それでも歩いた。
　以前のように倒れることがないよう、歩きながら獲物を仕留めて腹を満たした。仮眠も取るようにした。

　トントンは、どうしているのだろうか。
　軍人になるのだという夢は、叶ったのだろうか？
　彼は優しく気が利く人だったから、もしかするともう結婚でもして、家庭を持っているのかもしれない。

　ゾムは、元気でやっているのだろうか。
　突然連れ去られてしまったけど、ゾムの身体能力が高いことは自分も感じていた。軍に所属となれば、良い成績を収められると思う。

　彼等に、会いたいと思った。