探す【男主】 (ページ16)

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　俺の事も、Aのことも救ってくれた男が、何故俺の事を見捨てるのか分からなかった。
　本当は要らなかったのか、俺達のことなんて。

　軍に連れて来られてからも、暫くは何もする気が起きなかった。俺の上司だと言う男に、いい加減訓練に参加しろと言われても、何もする気は起きない。

　仕方なく参加してみたものの、どいつもこいつも単調な動きしかしない。俺にもこれをしろと強要してくるものだから、自分の相手になったやつを片っ端からのしてやった。
　Aとあの森で遊んでいた時の方が、ずっと楽しかった。

　そんな日々が続いて、自分の実力を認めたのだと暗殺部隊に所属させられることになった。
　俺を連れてきたグルッペン･フューラーとか言うやつがそう言ったらしい。

　暗殺部隊に所属するようになってからは、訓練ばかりの毎日から少し開放された。一人になれる時間が増えたのだ。任務を遂行し終えた後、まだ時間に余裕があるからとあの森を訪れてみた。

「なんや、これ」

　俺達が暮らしていた家はもぬけの殻、家の近くには、墓が立てられていた。『俺達を育ててくれてありがとう』と書かれていることから、これは男の墓なのだろう。

　何故死んだのか、Aは何処に？疑問が尽きないけれど、俺はどうしてもAに会いたかった。

「どこおんねん、A」

　Aが居らんと、俺どうしようもなくなってしもうてん。