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まずい現場を見てしまった、のだろう。
見なかった振りをして立ち去る、なんて事は、到底出来ない選択肢だったらしく。
「悪いな坊主、目撃者は殺せって命令なんだよ」
立て掛けていた銃を自分に向け、引き金に手をかける。
……前に銃口を壁に蹴りつけ、男の上に馬乗りになった。
「っぐ、あ…！」
「…殺される訳には、いかないので」
森で男に教わった体術を駆使して、男を押さえ付ける。何者だ、と聞かれるが、自分を殺そうとした脅威に教える情報は何も無い。この男はどのようにしようか、それを決めあぐねていると、後ろからまた足音が聞こえた。増援か？
「誰や！…あ？」
ニット帽を被ったオーバーオールの男は、こちらにスコップを向けて威嚇していたが、自分と自分の下の男を見ると、スコップを下ろした。
「…お前がやったんか？」
「殺されそうだったので。あの、貴方も危ないですよ…」
「あ、いや、俺シャオロンや！軍の人間」
シャオロン、と言えば軍の人間なのか？軍の情報を何も知りえない自分は、「はあ…」と生半可な返事を返すことしか出来なかった。
「あー、俺らのこと知らんの？まあとにかく、そいつ倒してくれてありがとうな」
「ああ、いえ」
下敷きにしていた男を軽くのして気絶させ、よいしょ、と肩に担いだ。
「…疑うんと違うんやけどさ、お前他国の奴？」
「あ、いえ。辺境ですけどこの国に住んでいます。―――っていう店で」
「そうなんや！…あーでも、報告どうしよ…」
うーん、と悩んでいる彼。報告、というのは、この男のことだろうか？それなら自分が出向いた方が、説明は簡潔に済むのではないだろうか。
「あの、俺が着いて行った方が良いなら、ついて行きます」
そう思って提案すると、彼はパッと顔を上げて自分を見た。
「え、ほんま？それならめっちゃ助かるわ！」
「…あ、今お使いで街まで来てるので、日暮れまでに帰して頂けると嬉しいです」
「おん、それは大丈夫！それならはよ行こか！」
ニッと笑って、男を担いでいない方の手で自分に手を差し出した。
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作者名：金欠 | 作成日時：2024年3月31日 21時
