探す【男主】 (ページ19)

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　城、というよりは要塞と形容できるその建物に、「ここやで～」とシャオロン(さんを付けると怒られた)に手を引かれて案内される。
　軍人がこんなに緩い雰囲気で良いのか？と他人ながらに疑問に思うが、そういえばシャオロンは肩に先程の男を乗せて歩いているし、いざとなればすごく強いのかもしれない。

　足取りは特に揺れることなく、一つの部屋へと向かっている。すれ違う軍人達は、シャオロンに向かって敬礼、もしくは挨拶をしっかりしていることから、シャオロンはもしかして、比較的上の立場に居るのでは…？と邪推してしまう。

　向かった先には、総統室と書かれたプレート。両サイドに黒いタペストリーが掛けられているのは、この総統の趣味なのだろうか。ノックもそこそこに、入るで～とドアをガチャ、と開けた。

「ノックぐらいしたらどうだ…、ん？」

　椅子に腰掛け、眼前で待ち構える金髪赤眼のその男は、森でゾムを攫って行ったあの面影があった。

「多分観光客や。こいつが倒しとってくれたんやで」
「…ほう、感謝しよう」

　シャオロンが口頭で、のされている男を観光客だと、それに対して、眼前の男は二三質問をし、それにシャオロンが答える、といった問答を暫く隣で聞いていた。じゃあ、と話が終わったところで、自分も用済みか、とシャオロンと共に部屋から去ろうとしたところだった。

「シャオロン、少しそいつと話がしたい。良いか？」
「あ？…あー、日暮れまでに帰れるなら。お使いで街に来とるだけらしいから」
「それまでには終わるだろう。話が終われば連絡する」
「分かった、じゃあこいつ引渡してくるなー」

　そいつ、と形容されたのは、シャオロンの肩に乗っている男ではなく自分のことで。自分の意図しないまま話が進み、シャオロンが部屋から去って、男と二人きりになってしまった。
　総統と呼ばれるだけあって、どこか畏怖してしまうところがある。

「……郊外の森で出会った、少年のうちの一人で、間違いはないか？」

　数年前の話だがな、と口角を上げるその表情は、あの少年ととても酷似していた。