探す【男主】 (ページ21)

今日:4 hit、昨日:67 hit、合計:7,815 hit

21 ページ21

：

　それじゃあ、と扉を開けると、シャオロンが扉の前で待っていた。用事は終わったのだろうか？と疑問に思ったことがバレたのか、「もう終わったで、家まで送ったる。最近物騒やしなあ」との申し入れが。

「ああ、それがいいな。ついでにこいつの家の場所も把握してきてくれ」

　後ろからグルッペン総統がひょこりと出て来て、シャオロンにそう伝える。

「幹部候補だからな」
「いや、まだ決まった訳では…」

　シャオロンは暫く惚けていたが、「確かにあいつのしたのはえらいことやもんなあ」と勝手に納得したようで、じゃあ帰ろか！と自分の手を引いた。

　行きと同じ道を通って、門まで向かう途中。七三分けに眼鏡をかけた、赤いマフラーをした軍人が前から歩いてきた。

「ほんまにあいつら…、ん、シャオロンやんか」
「おートントン！…あー…」
「書類早よ出せよ？粛清すんで？」
「ひえ～～」

　トントン、と。
　隣にいるシャオロンは、この男をトントン、と呼んだ。

「…隣の人は？」
「おー、なんかグルッペンが気に入ったらしくてな！名前は」

「A、です」

　自分がそう名乗れば、目の前の男、トントンの顔が驚愕、といった表情にみるみる変わっていった。

「A、？」
「え、なに、知り合いなん？」

　自分とトントンを見比べながら、え？え？と困惑するシャオロンを余所に、トントンは自分に近寄ってくる。

「A、ほんまに、A？」
「…久し振り、トントン」

　そう返せば、途端に前から衝撃を受けて尻餅をついてしまった。
　ゆっくり目を開けると、涙を流しながら自分を抱き締めるトントンと、未だに困惑し続けるシャオロンが見えた。