探す【男主】 (ページ22)

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　もう何年、行方を探していたか分からない。
　両親と必死に森を探しても、街を探しても、見つからないお前を。

　軍に入ってからもお前の事を忘れられなくて。ちょっと野暮用、なんて実家に帰ってみたり、仕事で別の国に飛んだりしても、どこかに居ないか、探している自分が居た。

　嗚呼、親に付けられたその傷は治りきらんかったんやな。身体付きはあの頃よりしっかりしてるな、なんか鍛えたりしたんか。しっかり食えてるみたいで良かった。伸ばしっぱなしだった髪も切ったんやな、似合うてるで。

　そんな色んなことを音にしようとするけど、口から漏れるのは嗚咽ばかりだった。涙ばかり出てくるせいで、大事なお前の顔が見えない。しっかり目に焼き付けて、もう二度と見失うことがないようにしたいのに。

「トントン、トントン」

「っ、ぅ…ぁ、A、A…」

「うん。……ごめんな」

　Aのことをしっかり抱き締める俺を、抱き締め返してくれる。そんな中で呟かれた謝罪は、一体どれに向かって放たれた謝罪なのか分からないけど、今ここにAが居てくれるだけで、今までの全てが報われていくから。だから、

「ぁ、謝んな、A、悪ないから、」
「…こんなに、泣かせて」
「ええ、居ってくれるなら、それでええから」

　もう何処にも行かんといて、

　あの時言えなかった、今までずっと言いたかったその言葉を。

「どこにも行かんで、俺の傍におって、もう不安にさせんで、ずっと、俺だけのAでおって」

　俺のA、やっと見付けた。