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困惑するシャオロンを余所に、トントンは泣きながらAに縋り付く。廊下を通る軍兵達がなんだなんだと近寄ってきて、人だかりが出来始めたところで。
「ちょ、トン……トントンが〜〜〜！！！！」
シャオロンさんの大声が、きっと要塞中に響き渡った。
「ほ、ほんまにAやんな？ 幻、とか」
「うん。トントンも……大きくなったね、いろいろ」
「え〜マジで知り合いなん？ どういう知り合い？」
シャオロンさんに連れられてやって来たのは、書記長室とネームプレートが下げられた一室だった。話を聞くとトントンはこの軍の書記長として地位を得ており、先程目にした総統の右腕とも呼ばれているそうだ。
夢が叶っていてよかったと思うのと同時に、肩書きの厳つさに圧倒されかけていたのは、トントンに言うつもりはないが。
ソファに促され、シャオロンと共に腰掛ける。「とりあえず、なんか飲むか」と出されたのはいかにも高級そうな紅茶だった。
「どこから話せばいいか……」
一口飲んだ後、そう切り出した自分にトントンは何を言うこともなく、じっとこちらを見つめていた。
「トントンとはどういう知り合いなん？ 学校とか？」
「いや……昔、家が近くで」
「幼馴染とか？」
「あ〜……」
言い淀む自分にトントンは助け舟を出す。
「厳密にはちゃうけど、そんなもんや」
「へえ〜、それが今奇跡的に再会したってこと？」
「せやな。……手紙だけ置いて、どこに居んのかも分からんでずうっと探しとったんが、今見つかった」
トントンはそう言うと、ポケットから何かを取り出した。随分とくしゃくしゃになったそれは、紙切れのようで。
Aにはそれが、あの日ベッドの上に置いてきた手紙だとすぐに分かってしまった。
「……ごめん。良くして、もらったのに」
「責めるつもりはない。……あれから、どうしとったんや」
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作者名：金欠 | 作成日時：2024年3月31日 21時
