探す【男主】 (ページ5)

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　強盗殺人、だったらしい。

　自分の家庭が裕福であることはある程度知れ渡っているらしく、計画性の無い衝動的な犯行だったそうだ。
　というのも、自分の様子を気遣いに来てくれたトントンが家の中で立ち尽くしている自分を発見して、その後の事情聴取や処理などもトントンやトントンの親のお陰で何事も無く終えられ、事の顛末を噛み砕いて教えてもらったため、どこか他人事のような気分でいる。
　自分の両親が死んだというのに、涙の一つ零れないのは、自分が非情な人間だからだろうか。

「うち、居り。家は危ないから」

　トントンとトントンの家族がそう言い張ってくれるので、暫くの間住まわせて貰うことになった。
　自分の家の金品は残らず強奪され、家の形と両親の死体しか既に無かったそうだ。
　そもそも金目の物がどこにあるのか知り得ないし、何より虐待を受けていたトラウマのような場所に戻る必要はないんじゃないか、というトントンの家族の必死の説得の末であるが。

「息子が2人に増えたみたいで嬉しいわあ。Aくん、いつまでも居てくれていいのよ」

　トントンの母親は、お世話になっている間すごく自分を気にかけてくれた。勿論それはトントンやトントンの他の家族もそうなのだが、何かにつけて「うちの子になったも同然よね」と嬉しそうに話し掛けてくれる。なんだかむず痒い、けれど胸の内が温かくなるような気分だった。

「(これが、家族なのかな)」

　隣で笑うトントンにつられて、ゆっくりと微笑んでみせる。顔の傷は、少しづつ癒えていた。