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『ね、猿せんせ』

耳の前に垂らした無駄に長くちゃらちゃらする髪を手のひらと頬の間に挟んで、一丁前に机に肘なんかついている少女が、青く薄い生地のジャージを来た机の対岸の男に話しかける。

呆れたようなため息と共に、それに対して青ジャージは窘めるように訂正を一つ入れる。


「猿山先生、な」


むっとしたように眉根を寄せた少女が、わざとより一層ふてぶてしく言った。


『らだ男。』

「……はぁ………」

『ため息つくな』


シャーペンの尖ってない方で、胸の前の机で組んでいる先生の腕をツンと突く。
「なんだよ」と腕を退けると、今度は高く胸の前で組む。


ちょっと迷惑そうなその顔に少しの好意でも見っけられたらなぁ、なんて少女は心の中で思った。


「で、なんだよ」

『え?』

「え?じゃないでしょ。なんで話しかけてきたの」

『えぇ〜……理由がないと話しかけちゃダメ?』

「だぁめ。先生も忙しいんだわ」


やれやれ、なんて肩をすくめる仕草が癪に触って机の下の脛を蹴ってやると「うわ、暴力だ。教師に暴行働いた」と子供みたいな口調で抗議してくる。ちょっと感じた胸のザワつきに、やっぱ好きなんだと再確認する。



なにが「猿せんせ」だ。明らかに舐め切ったその態度に、苛立ちより、啓蒙より先に、愛おしさを覚えてしまう様になったのはいつ頃だったか。

はぁ、とため息をつく。自分に呆れた。
アホみたいだ。

大の大人が、しかも教職の大人が、こんな純真無垢な子を。


「猿山先生、な」

『……らだ男。』


訂正を入れれば、彼女の細い眉毛がぎゅっとよる。かわいー、とか言いそうになる。危ねぇ、あぶねぇよ。この感情も、またため息に換えた。












 
 
 

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774号(現在稼働中)(プロフ) - 〜さん» わ、ありがとうございます〜!今後色々加筆修正するかもです! (3月30日 6時) (レス) id: d970fcc3ac (このIDを非表示/違反報告)
- 完結おめでとうございます!!こんな神作を執筆中に見れたという事を誇りに思います!! (3月29日 21時) (レス) @page8 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
774号(現在稼働中)(プロフ) - 〜さん» ありがとうございます!続きをもう少々お待ち下さい! (3月26日 17時) (レス) id: d970fcc3ac (このIDを非表示/違反報告)
- 好きです!!!もう最高です!!!! (3月26日 13時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
774号(現在稼働中)(プロフ) - しぃさん» ご注意本当にありがとうございます、なぜか外れません、、、現在運営様に報告しております。 (3月25日 22時) (レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:774号(現在稼働中) | 作者ホームページ:続きます  
作成日時:2024年3月25日 19時

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