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いつもと同じ電車に乗り、校門をくぐって誰もいない教室に辿り着く。
……はずだった。
「ほーだーかー！」
不敵な笑みを浮かべた藤崎くんが目の前に立ちはだかる。
昨日の放課後、私は号令が済んだ瞬間逃げるように教室を出た。
視界の隅で、藤崎くんが私に何か言おうとしていたのは見えていたけど、聞こえないフリをした。その上ちょうど良いタイミングで先生が彼を呼び止めてくれたので難なく帰宅した。
体力テスト終わりの藤崎くんのあの様子は、完全に探りを入れてくる感じだった。馬鹿な私でもさすがに分かる。
だから何も聞かれないように早々に帰ったのだけど。
「昨日の帰り、なんで無視した？」
「え？な、なんのこと？」
「しらばっくれんな。目泳いでんだよ」
じっとりとした視線が痛くて彼に背を向ける。
「い、急いでたの」
「ふーん。あっそう。で、本題なんだけど」
やっぱり。
昨日の今日だ。今から聞かれることは大体想像つく。どうせ部活のことを聞きたいのだろう。こうなったらもう、どうにでもなってしまえ。
腹を括って身構えるも、彼はそこから話を切り出してこなかった。
その沈黙に居た堪れなくなり、身体の向きを変えて彼を見る。
「やっぱいい。てか、ごめん」
「……へ？」
「いや、なんか。別にそんな顔させたかった訳じゃないし」
彼の目に映る私は、どんな顔をしているのだろうか。
そう言って藤崎くんは踵を返す。
「待って！」
自分でもびっくりするぐらい大きな声が出た。
それは彼も思ったのか、大きく肩を揺らして振り返る。
彼の黒目がちな瞳が再び私の姿を捉える。
「いつか話すから！それまで待ってくれないかな？」
なんて訳の分からない、らしくもない事を言ってみせる。自分で言っておきながら恥ずかしくなってきて、じわじわと顔に熱が集まるのを感じた。
居た堪れない気持ちになって藤崎くんの顔色を窺う。
ぷっ、と吹き出したかと思えば、普段の様子とは似ても似つかないぐらい腹を抱えて派手に笑った。しかも、これでもかと言うぐらいに。
「絶対話せよ？」
いつもの気怠そうな顔でもなく、さっきのような不敵な顔でもない、年相応の少年らしい無邪気な笑顔。
微かに感じた胸の高まりを、今は気のせいだと思いたい。
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ぱるぱる(プロフ) - けみすぅさん» お待たせしました……！ありがとうございます、頑張ります！！ (8月12日 15時) (
レス) id: 7a8872ac1a (このIDを非表示/違反報告)
けみすぅ(プロフ) - お待ちしておりました…、！！無理ない範囲で更新頑張ってください楽しみにしてます…♡ (8月9日 4時) (レス) @page18 id: 32d0e6279e (このIDを非表示/違反報告)
ぱるぱる(プロフ) - 八分雨_さん» ありがとうございます！！！！エモすぎて泣きました…… (2021年6月12日 20時) (レス) id: c973c4b273 (このIDを非表示/違反報告)
八分雨_(プロフ) - 初コメ失礼します！作品めちゃくちゃに大好きです！…夏終わりませんよね… (2021年6月10日 6時) (レス) id: 1ae85e2dd8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるぱる(プロフ) - 散歩雨さん» ｱｯｱｯｱｯありがとうございます！！！！そう言っていただけてとても嬉しいです！伸びるように更新頑張ります！ (2021年5月28日 21時) (レス) id: be4d8b08b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱるぱる | 作成日時：2021年5月12日 0時
