32:夜空を見上げるのも悪くはない ページ32
「……死ぬかと思った…」
魔法とは恐ろしいものだとつくづく感じた私は、げっそりとした表情のままバスタブに浸かっていた。部屋に案内するために荷物を持ってくれたのは、ホテルマンではなく、宿舎にある家具たちであった。ズンズンと無言で近づいてきて、囲まれた時には本当に肝が冷えたものだ。未だにバクバクと心臓が動いている。
しかし見た目はボロくとも、中身は非常に快適で、バスルームもこの世界にきて最も清潔感のあるところだった。元日本人である私がベレニカ永住でもいいな、と思うのも無理はない。あ、ちなみにロボロはと言うと宿泊費をケチろうと同室を申し出てきた為にエルボゥ(所謂肘鉄というやつ)を決めて隣の部屋に入っていただいた。いくら色気がないとはいえ、さすがに同室は女としていただけない…。手を出されても嫌だし、出されなかったとしてもなんだか不服だからだ。
乙女心というものは非常に難しいのである。
ゆっくりと湯船を堪能し、ふわふわのタオルで髪の毛をぱふぱふと叩いていく。体が温まり、少し冷まそうと窓を開ける。夜の帳はもうとっくに降りていて、空は一面に星が散りばめられていた。
星が綺麗だな…。そう言えば私っていつから空を見上げないっけ…？考えてみれば社会人になってからだよな…そんなのどかな時間なんてなかったし…。───なんてことを考えていれば、こんな時間なのにも関わらず宿舎のすぐ側を歩いている人物が目に入った。
「…ひと？」
フードを被っているせいか性別すら不明の人物は、一度足を止めて周囲をくるくると見渡す。
背後に怯えているような、はたまた何かに警戒しているような……かと言えばただ道に迷っているような謎の行動。階層すら違うので向こうは自分に気づいていないらしい。
「不審者が出たって話は聞いてないんだけどな…」
かの人物の挙動不審のような動きに嫌な予感を張り巡らせ、ついにフードの人物は里の奥へと姿を消した。
「本当こんな時間に何だったんだろ」
人物が消えたせいか、一気に眠気が襲ってくる。ふぁあと間抜けな音が口から漏れて、背伸びをすればもう睡魔がすぐ側にやってきてしまう。
髪の毛、半乾きだな…明日の寝癖やばいかも……。
頭では思っても体は動かず、睡魔が誘う方へと意識を手放すのであった。
33:さぁて、いっちょ働きますか→←31:たっぷりとおもてなしをどうぞ
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#みなせ(プロフ) - はァｯバチくそに大好きな作品を見つけてしまった…!!!いや、見つける運命だったのかもしれない!!!!!!!rbrと夢主ちゃんが最初に仲間になるの…神では???続き楽しみに待ってます!!!!!!!体調にお気をつけください〜! (4月30日 17時) (
レス) @page35 id: af4a079e32 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます…！最新話までお読みいただき感謝しかありません。おもち様もご自愛くださいませ！今後ともよろしくお願いします。 (8月2日 13時) (レス) id: 34023827fc (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 紅さん» コメントありがとうございます…！面白いと言っていただきすごく安心しました！ゆっくり更新ではありますが今後ともよろしくお願いします。 (8月2日 13時) (レス) id: 34023827fc (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 次の展開が楽しみすぎる！無理せず頑張ってください！ (7月25日 22時) (レス) id: 5f4d3dd2ed (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月24日 17時) (レス) @page29 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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