10:クリームシチューこそ至高 ページ10
呆然と立ち尽くす私に声をかけてきたのは遠巻きに見ていた村人Aの女性だ。マダム年齢の彼女は私の見窄らしい姿を見かねたのか、「大丈夫？」と聖母のような表情で尋ねてきてくれたのだ。
「あ、すみません。あの森で迷ってしまい、荷物も全部なくしてしまって…」
「そうだったのね。あそこ森は、蒼の森と呼ばれていて人が迷ったら死んじゃうような場所だから、命があって良かったわ。最近は魔物も出るって噂だからね……ってヤダわ。つい話しすぎちゃった。よかったら我が家に来なさい。お水と昨日の残り物ぐらいは分けてあげるから」
「…えっいいんですか？」
「もちろんよ。困った時はお互い様でしょう」
「あ、ありがとうございますッ！」
この人が私の神様でしょ、という本音は心にしまって彼女に案内されるがままお家へとお邪魔させてもらう。どうやらこの村唯一の飲食店を営んでいるようで、店内に入った瞬間に美味しそうな匂いが鼻に広がり腹が鳴る。可愛くないその音はマダムに聞こえていたようで、クスクスと笑った後カウンターに座ってとウインクされた。
「さ。お食べ」
「…いただきます」
この世界にきて初めて食べたのは簡素なクリームシチューだった。だけどそれが何よりも温かく、美味しくて。……噛み締めるようにただただ味わった。
.
マダムこと、ロラさんは私の境遇を見兼ねて手を差し伸べてくれた天使だった。おかげさまでこの世界の状況についても把握することができた。簡潔に説明するならば要点は三つ。
・この世界は100年ほど前から魔王軍によって支配されている。
・魔王を倒そうとする勇者は10年に一度誕生しているが魔王によって皆、殺されている。
・ここ数年ではさらに治安が悪化し、国の中心部だけでなく辺境の村にも魔物が出てきており、騎士や魔導士のいない村では非常に困っている。
まるでゲームのNPCのような口調で話してくれたロラさんは「今年は勇者が生まれる年だからね……私たちを助けてほしいわ」と苦笑する。それは私です、なんて挙手することも出来ずに曖昧に頷く。
「ロラさん、買い出しと水汲み終わったで」
「お疲れ様。水は裏に置いてくれたかい？」
「おん。…お客さん、いたんや」
「あ、」
「…あ」
「あら、あんた達知り合いだったの？」
井戸で出会った面布の男。私と同時に彼も同じような声を出す。ロラさんに説明しようと、口を動かすが間も無く後ろからバンっと衝撃音が聞こえ、びくりと肩を鳴らして振り返った。
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#みなせ(プロフ) - はァｯバチくそに大好きな作品を見つけてしまった…!!!いや、見つける運命だったのかもしれない!!!!!!!rbrと夢主ちゃんが最初に仲間になるの…神では???続き楽しみに待ってます!!!!!!!体調にお気をつけください〜! (4月30日 17時) (
レス) @page35 id: af4a079e32 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます…！最新話までお読みいただき感謝しかありません。おもち様もご自愛くださいませ！今後ともよろしくお願いします。 (8月2日 13時) (レス) id: 34023827fc (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 紅さん» コメントありがとうございます…！面白いと言っていただきすごく安心しました！ゆっくり更新ではありますが今後ともよろしくお願いします。 (8月2日 13時) (レス) id: 34023827fc (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 次の展開が楽しみすぎる！無理せず頑張ってください！ (7月25日 22時) (レス) id: 5f4d3dd2ed (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (7月24日 17時) (レス) @page29 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
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