◇ ページ32
暫く腹を抱えて笑っていると、タッタッと廊下を軽やかに駆ける人物が居ることに気が付いた。確実に此方に近付いて来ているその足音に誰からともなく椅子から腰を上げ身を寄せ合う。
いつか、ミニ作戦会議を開いた時もこんな感じだったような…？あの時は確かダクトから＿＿＿
「チチチチーーーッス！！」
「ゔわﾞァァーッ！？」
勢い良く黒板側の扉が開け放たれると同時に耳を突き抜けた上機嫌な挨拶が記憶と合致する。
そうそう、こんな感じでいきなりゾムさんが部屋に突撃して来たんだった。ウツさんが彼の登場に仰天して尻餅を着く所まであの時と一致している。完全再現とはこのことを言うのか。
「希お前なに先々行っとんねん!置いてくなや!」
「あーあーあーあー ややこしいことなるでぇコレ…」
「紗緒ー！陽呂ー！A見っけたァ！」
「アー良かったなァ!」
「探知犬かよマジで……」
希の登場を皮切りに続々と声が聞こえてくる…。
𝙌𝙪𝙚𝙨𝙩𝙞𝙤𝙣．推しに囲まれそうな時、耐性のないオタクはどうするでしょうか？
𝘼𝙣𝙨𝙬𝙚𝙧．逃げるんだよォ!
トンズラここうと足に力を込めたが、両手が固定された為立つことは叶わなかった。牽引された原因を探るように感覚を辿れば、顔を青褪めながらも満面の笑顔を見せる相棒組が お前も道連れだ、と言わんばかりに手を固定させていた。
動作が硬直する。ここが二度目*の世界だったらならば、私は彼らの手を振り払って逃げることが出来ただろう。それくらい赤子の手を捻るよりも容易かったはず。然し今の私はそれが出来ない。力の差もあるが、死んだ結果彼らへの耐性がリセットされている事が大きかった。泣きたい。
「あ？お前ら確か…」
「ど、どうもゾムさんAちゃん借りてますぅ」
『ははは、借りられてまーす』
「呑気！！でもまあ、良かったぁ無事で…」
心底安心したと言わんばかりに柔い笑みを浮かべた希に思わず三人で顔を見合わせる。
「なんやあったんけ？」
捏田さんの言葉に希は肩を揺らし、ぽつぽつと零すようにこれまでの経緯を語り出した。
私をお昼に誘うべく紗緒と陽呂と一緒にＣ組まで向かったこと
然し其処に私は居らず、どうしたものかと三人は近くに居た人たちに情報を求めたこと
情報を整理し、私はいきなり現れた金髪碧眼と黒髪蒼眼の二人に何処かへ連れ去られてしまった、という結論に至ったこと
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 192人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜巫(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。イマジナリーッペンは自分でもお気に入りの造語です(笑)。ご期待に添えられるようなお話かは分かりませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです… (11月20日 15時) (
レス) id: 42dc5a7528 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 今では珍しいパンゾンビ、P.6で出てきて懐かしすぎて久々に見に行ってしまいましたwイマジナリーッペンの語呂の良さ、微笑んでしまうようなやり取りetc…明日が一応更新日ということで、気長に楽しみに待っています！！ (11月18日 20時) (レス) @page33 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
怜巫(プロフ) - ワカメさん» お褒めいただきありがとうございます！遅筆ですが頑張って続きを作成中ですのでこれからも本作品を何卒宜しくお願いします！ (10月3日 20時) (レス) id: 138669c149 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメ - ものすごく面白いです！続き楽しみにしてます！ (10月3日 18時) (レス) @page22 id: 103dc78d5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：怜巫 | 作成日時：2023年8月17日 5時
