【小噺】後光は主役を照らす* ページ47
正月。それは暦の年始めであり、旧年が無事に終わったことと新年を祝う行事である。
天然100％の邪悪から成る金髪の男はその端正な顔に笑みを拵え、煌びやかに装飾された壇上に立っていた。
ワインレッドの瞳に映るは幾万もの兵士。ざわめきは一切聴こえず、何故か惹き付けられる彼の挙動を一瞬たりとも見逃すまいと瞬きもせず見つめている。その姿は教祖を信仰する信者と何ら変わりないが、それに気付かぬ彼らではないとは重々承知だ。これは我々のエゴであり、ただの欲望であり、不安を解消する手段でもある。自由を何よりも重んじる彼がトップであるからこそ赦されるこの行動原理が、他所では同情すら許されない異質なものだというのを我々は理解している。だからこそ、その部分を顕著に出すのだ。
コツリ、ブーツの音が冷え切った空気に響く。それだけで心臓が早鐘を打ち、今か今かと彼の言葉を待ち侘びる鼓膜がぶるりと震える。瞳孔が興奮でキュッと開き、口元に自然と弧を描きそうになるも気合いで堪えた。日々の訓練の賜物である。
キーン、という不快な音がマイクから鳴る。然しそれも一瞬で、バリトンボイスが我々の意識を支配した。
「諸君、先ずは新年を無事迎えられたことを心から慶ばしく思う」
只管に真っ直ぐな
眩しいくらいに耀く一点の恒星を忘れぬようこの目に焼き付ける。彼のブロンドの髪が後光に照らされ、耽美な容姿も相俟ってこの世の者ではないかのような雰囲気を醸し出していた。もしかしたら本当にそうなのかもしれない、なんて馬鹿げた思考が脳裏を過ぎる。
幾年先を見据える彼には今、一体何が視えているのだろうか。当たり前だが、みえる景色など本人にしか分からず、我々には解ることしか出来得ない。それが酷くもどかしくて、然しそんな感情すら抱くのも畏れ多い。複雑な気持ちが更にぐちゃぐちゃになって、掻き混ぜられて、一つの決意として確かに存在していた。
今年も彼に、彼らに従うことは変わらない。
ただ何か、良くないことが起きる気がする…なんて。口にすれば目出度い時になんて事を考えてるんだと苦笑しながら同僚に小突かれそうなその予感を、しがない一般兵でしかない彼は無視するしかなかった。
カタカナ幹部が急逝する██日前、情報処理班の$€々€▽＜%・・＊＜・:♪€3ц×÷׫以下の情報は削除されました»
ポテトには甘いジュースが合う*→←やってはいけないことリスト(一部抜粋)*
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怜巫(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。イマジナリーッペンは自分でもお気に入りの造語です(笑)。ご期待に添えられるようなお話かは分かりませんが、気長にお待ち頂ければ幸いです… (11月20日 15時) (
レス) id: 42dc5a7528 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 今では珍しいパンゾンビ、P.6で出てきて懐かしすぎて久々に見に行ってしまいましたwイマジナリーッペンの語呂の良さ、微笑んでしまうようなやり取りetc…明日が一応更新日ということで、気長に楽しみに待っています！！ (11月18日 20時) (レス) @page33 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
怜巫(プロフ) - ワカメさん» お褒めいただきありがとうございます！遅筆ですが頑張って続きを作成中ですのでこれからも本作品を何卒宜しくお願いします！ (10月3日 20時) (レス) id: 138669c149 (このIDを非表示/違反報告)
ワカメ - ものすごく面白いです！続き楽しみにしてます！ (10月3日 18時) (レス) @page22 id: 103dc78d5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜巫 | 作成日時：2023年8月17日 5時
