羊が３５匹 ページ35
「だって鬱くんは一回その書類を提出したんだよ？
それなのに二回も三回も……それも鬱くんを脅してまでやらせるのはヒドイんじゃないかな？
それにAちゃんは生徒会じゃないでしょ？」
彼女の思考を、私は理解できなかった。
世の中の大人はやらなければいけないことを少々脅すようにしてやらせる。
例えば、『ゲームを取り上げられたくなかったら』とか、『買い物に行きたければ』とか何かと餌を撒いてやらせようとする。
私が今していることはこれと同じだ。
これのどこが酷いと言うの？
それにやらないほうが悪いでしょう？なぜ私が怒られなくちゃいけない？
「……まだ、私が生徒会ではないから注意するのは可笑しいんじゃないか、というのは分かるわ。
でも、悪いのはやらなきゃいけない書類をしなかった鬱の方でしょう？
それをやらせようとしている私のほうがよっぽど偉いと思うけど？」
ここまで言うと私が正解だって言っているようであまりいい気分はしないが、考えてみればまだ“注意をする”親のほうがよっぽど親切だ。
だって、やらなきゃいけないって教えてくれているのよ？
やらない子はいつまで経ってもやろうとなんてしない。成長なんてしないのよ。
だから私はまだ優しいと思うわ。やらなくてもいいんだよなんて言うやつよりは。
「でも、強要は良くないよ！
誰だってやりたくないときだってあるし、やろうと思っても出来ないときだって……」
坂崎さんが反論しようとしたとき、鬱が口を開いた。
「……美麗ちゃん、もうええよ。流石にこればっかりはやらなかった僕が悪いんやし」
「鬱くん……」
正直驚いた。あんな馬鹿げた書類を提出したやつが庇ってもらったのをあっさりと退けるなんて……。
この鬱という男は私が思っているほど、屑な男ではないのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 891人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子。(プロフ) - うぃるそんさん» ありがとうございます！！！！頑張ります！！ (4月27日 22時) (
レス) id: e4888bfbe3 (このIDを非表示/違反報告)
うぃるそん - あー！！本当に大好きすぎます！これからも頑張ってください！！ (4月22日 23時) (レス) id: 4b19bdf32e (このIDを非表示/違反報告)
柚子。(プロフ) - ーーーさん» えへへ、ありがとうございます！！ (3月7日 20時) (レス) id: e5709cfba7 (このIDを非表示/違反報告)
ーーー - 好き······ (3月7日 18時) (レス) @page47 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 大好きです！（突然の告白）頑張ってください！ (10月12日 16時) (レス) id: bf3237f3d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚子。 | 作成日時：2022年10月8日 9時
