羊が４２匹 ページ42
私も彼も話題を出すのは苦手なのか、一言も話さない。
……めっちゃ気まずい。
まぁ、書類の邪魔ではないからその方が良いだろと言われたら言い返せない。
そんなことを考えているとロボロさんが口を開いた。
「な、なぁ！普段はそれしないんか？」
彼は私の頭……多分髪を指してそう言った。
「……髪のことでしたら普段はしないですね。
するとしたら運動するときとか、作業の邪魔になりそうなときくらいですよ」
「えぇ〜……普段もしたらええのに。めっちゃ似合ってるんに」
いきなりそんなことを言われたからか、少々驚いてしまった。
まさかあそこまで初心な彼がそんな口説くような言葉がスラスラと出てくるとは思わなかった。
というか、彼は私を“嫌っている”という雰囲気で、坂崎さんにベッタリだった気がするんだけれど……。
「あら、そうですか？ありがとうございます」
サラッと受け流し、まだ残っている書類に再び手を付けていく。
まぁこういうのはどうせお世辞だろうし、深くは考えないでおこう。
「……絶対伝わってへんやん……」
彼がそんなことを言っていたとは露知らず。
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
「うぅ〜……、終わったぁ……」
なんとか昼休みの終了の予鈴がなる前に書類を終わらすことが出来た。
ちなみにロボロさんは用事を思い出したとかなんとかで先にどこかへ行ってしまった。
「さて、とっとと書類置いて戻りますか。
正直、坂崎さんの尻拭いみたいなことしたくなんだけど……彼女には色々してしまったもの。これくらいはしないとね」
これでも私は彼女をいじめた。
この過去はどう頑張っても揺るがない。
……彼女の心の傷はもう元には戻せないのだから。
だから私はただ“謝る”のではなくて、こうやって何かをして誠意を見せることが大事だと思うの。
まぁ、この書類も坂崎さんに渡されたものなのだけれど……。
そんなことを考えていると、キーンコーンカーンコーン……と予鈴が鳴ってしまった。
終えた書類とメモ程度の紙をトントンさんの机に置いてようやく私は生徒会室を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 891人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子。(プロフ) - うぃるそんさん» ありがとうございます！！！！頑張ります！！ (4月27日 22時) (
レス) id: e4888bfbe3 (このIDを非表示/違反報告)
うぃるそん - あー！！本当に大好きすぎます！これからも頑張ってください！！ (4月22日 23時) (レス) id: 4b19bdf32e (このIDを非表示/違反報告)
柚子。(プロフ) - ーーーさん» えへへ、ありがとうございます！！ (3月7日 20時) (レス) id: e5709cfba7 (このIDを非表示/違反報告)
ーーー - 好き······ (3月7日 18時) (レス) @page47 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 大好きです！（突然の告白）頑張ってください！ (10月12日 16時) (レス) id: bf3237f3d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柚子。 | 作成日時：2022年10月8日 9時
